こころのプラネット

間違った生き方や考え方が自分を苦しめていた・・・ 不安障害で苦しんだ当事者が出会ったこころの真実。森田療法を中心に、マインドフルネス・仏教心理学などを通して 苦しみの本質に気づき、とらわれのないこころのあり方さぐります。

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とらわれとはからい

投稿日:2019年12月18日 更新日:

とらわれとは

森田療法では不安障害の原因を「とらわれ」という特有の心理的メカニズムが働くために起きると考えます。「とらわれ」には、生き方へのとらわれ(よりよく生きたい)、身体へのとらわれ(いつも健康でいたい)、不安や恐怖へのとらわれ(いつも心配なく安心でいたい)、観念へのとらわれ(自分はこうあるべきだ)などさまざまな形で存在しています。

とらわれは感情によって生み出される

人間のこころは一般に知・情・意、つまり思考・感情・意思の3つが複雑に絡み合って成り立っています。

しかし、思考(観念)や意思といってもそれは決して事実に基づいた正しい理解や判断をしているわけではありません。

思考や意思には必ず「こうありたい」「こうしたい」といった価値判断や意味づけ(解釈)がされています。
そして、その価値判断や意味づけは感情によって生み出されるのです。

不快を避け快を求める

感情の基本的な要素を成すのは快と不快と言われています。そうすると、私たちはどうしても不快を避け快を求めます。個人的には好き、嫌いということになります。

その感情は個人的な価値判断や解釈を生み出します。そして、それは快(好き)を求め、不快(嫌い)を避ける方にどんどんバイアスがかかります。それがとらわれです。

それは、思考や意思に影響を与え正しい価値判断を誤らせます。人前では堂々としていなければならないという価値判断が強いと、現実の情けない自分を許せません。それが観念と現実の葛藤であり、私を苦しめたのもこうしたとらわれでした。

人間の一切の苦しみは執着から

とらわれは仏教では「執着」と言います。人間の一切の悩み苦しみの原因は執着であると教えています。執着は一つにことに心をとらえられてそこから離れられないことを言います。

中でも我執というのが厄介です。小さな自分だけの考えにとらわれてそこから離れられないことです。自己の内部に不変の実体、本質が存在すると思う心です。

執着は人から自由を奪い智慧を鈍らせます。だから苦しくなるのです。

自由な心とは

反対に自由な心とは、「無所住心」つまり、注意が一点だけに集中するのではなく、森羅万象に応じて全方位にあまねくいき渡るような心構えを言います。

そのことによって人は初めて、ことに触れ物に接して臨機応変、適切な行動で対応することが出来ると教えています。

そのために、仏教では諸行無常(不変なもの、絶対的なものは存在しない)、諸法無我(全ては縁で成り立っている)などの教えを通して、また、禅では座禅を通して現実を正しく見る訓練を積むことを勧めています。

《とらわれとはからい》

不安な感情が生まれると、それを取り除こうと行動や心のやりくりである「はからい」が生まれます。「はからい」とは自分が不安や恐怖と思っている感情を何とか軽減したいとあれこれ考え行動することです。

例えば、人と会いたくないので理由をつけて欠席する。火を消したか不安なので何度も確認してしまう。失敗で評価を落としたくないので今日は体調が悪いと言い訳を用意しておく、などいろいろあります。
これらは私たちもふだん何気なくやっており、とりあえずの安心感を得たりしています。

はからいは回避や逃避を生む

「はからい」はあくまでもその場しのぎのやりくりなので本当の安心は生まれませんしものごとの解決にもなりません。それだけでなく、特に不安障害の人にとっての「はからい」は症状を固着させ葛藤はますます増大してしまいます。

「はからい」は苦手な場面からの回避や逃避を生むことになり、それは現実に触れる機会をますます遠ざけることになるからです。

とらわれから抜け出すには

それでは、とらわれから抜け出すにはどうしたらいいのでしょう。

森田はこう書いています。『自然に服従し、境遇に従順であることであります。私どものいろいろな気分は起こる原因があって起こるものですから、それをどうすることもできません。それが心の自然であってみれば、抵抗しないで受け入れてゆく他はありません』。

森田の言う「自然に服従し、境遇に従順」であることは決して ”状況に逆らうな” ”長いものにはまかれろ” という消極的な生き方ではありません。

自然というのは「事実」のことであり、境遇は「現実」のことです。事実は認めざるを得ないし、現実には適応していくしかありません。適応という中にはもちろん、より良い方向に改革することも含まれています。

いずれにしろ、ものごとを観念的に理解しようとせず、まず「あるがまま」に事実を受け容れることがとらわれから抜け出せる道だということです。

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大学卒業後、放送局にて制作・報道などに従事。その後映像会社設立。
思春期より不安障害に悩む。自助グループで活動するかたわら心理学を学び、臨床心理士・公認心理師の資格取得。

名古屋市在住。2015年より長野県安曇野市で300坪の畑を借り都会と田舎の二拠点生活を始める。家族は妻・子ども3人・母。趣味は野菜づくり・読書・世界辺境旅行など。

 

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