こころのプラネット

間違った生き方や考え方が自分を苦しめていた・・・ 不安障害で苦しんだ当事者が出会ったこころの真実。森田療法を中心に、マインドフルネス・仏教心理学などを通して 苦しみの本質に気づき、とらわれのないこころのあり方さぐります。

こころのトリセツ こころの悩み 心理療法 森田療法 認知行動療法

こころの生活習慣病(1)

投稿日:2020年12月10日 更新日:

考え方・感じ方のクセ

生活習慣病とは、食生活、生活リズム、運動、嗜好(喫煙、飲酒)など、日ごろの生活習慣の悪いクセが主な原因で体調を崩したり、病気になってしまうことを言います。ついつい食べ過ぎてしまう、タバコがやめられないなどの生活習慣です。

一方、心の不調(悩み・苦しみ・生きづらさなど)にも、日ごろの生活習慣が影響しています。
それが「こころの生活習慣病」とも言うべき「考え方や受け取り方のクセ」です。

クセに気づく~見える化する~

最も有効なダイエット法は?

身体の生活習慣病を治療する方法の一つにダイエットがあります。ダイエットとは本来健康のために余分なものを食べすぎないことを言います。
この食べ過ぎというのは生活のクセです。日ごろのストレスなどでついつい食べ過ぎてしまうのです。

世の中にはさまざまなダイエット情報が氾濫していますが、なかなか長続きしません。
そんな中、多くの人がこれが一番効果があったと認めているダイエット法があります。
何だと思いますか?実は、それは「毎日体重を測る」というシンプルな方法だったそうです。

「見える化」することの意味

では、なぜそれが効果があったのか。それは、自分の体重が「見える化」されたからです。
「見える化」されることで、自分の状態が一目瞭然分かります。体重が増えれば、自分の生活の何かが問題であると気づくことができます。
「夕食はお米抜きにしてみよう」「明日からジョギングを始めよう」とか。その時、その時で臨機応変のダイエット法が可能になります。

決まった方法でストイックにダイエットしようと思うとなかなか長続きしません。
長続きのコツはこの臨機応変ということです。
つまり、それは誰かが作成したダイエット法を忠実に実行することでなく、自らの力、つまりセルフヘルプのダイエット法というわけです。
そのための大事なポイントが「見える化する」ということだったのです。

こころのダイエット

それでは「こころの生活習慣病」はどうでしょうか。
これもいわば毎日の考え方・感じ方のクセが引き起こします。これもダイエットが必要です。

ところが、自分が「こころの生活習慣病」にかかっているかどうか、自分自身ではなかなか分からないものです。
そのためには、まず、自分のこころを「見える化」してみることが有効です。
具体的に言えば、文字化(あるいは言語化)することです。
つまり、ダイエットにおける「体重測定」というわけです。

日記療法

森田療法では「日記療法」というものがあります。自分の行動やその時頭に浮かんだ考えや生じた感情などを日記につけるのです。
日記を続けていると自分の考え方や感じ方に或る傾向があることが分かります。それがこころのクセです。

治療の場合には「日記指導」といって医者やカウンセラ-などがそれにコメントを付けます。
しかし、必ずしも専門家のコメントが必要というわけではありません。自分が書き、自分で読むだけでいいのです。
つまり、見える化されたことによって自分で自分のこころの偏り・クセに気づくことが出来ます。
そうすることによって、「ああ、私はいつもこう考えてしまうんだな」とか、「この考え方は極端だな」とか気づかされます。
その結果、知らず知らずに自分の誤った考え方が修正されていくのです。
いわゆる自己治癒力(自己修正力)が働くからです。

思考記録表

一方、認知行動療法では「思考記録表」というものがあります。
思考記録表の場合は、自分が不安や恐れなどネガティブな感情に襲われた時の状況や、その時浮かんだ考えやイメージ、それに対してもっと現実的な考え方はないか、などを整理して書き出します。
自分の感情を客観的に見つめ、文字にすることで、改めて自分が何にとらわれているか気づくことが出来ます。

                《思考記録表》

(1)状 況 不安や恐れを感じた時の状況は?
(2)気 分 その時の気分は?(恐怖・恥しさ・怒りなど%で表記)
(3)自動思考 その時にわき上がる考えやイメージは?
(4)根 拠 自を根拠として浮かんだか?動思考は何
(5)反 証 自動思考と矛盾する事実は?
(6)適応思考 現実的でバランスのとれた考え方は?
(自分が無理なく受け入れられるもの)
(7)今の気分 考え方を変えて気分がどう変化したか?(%で表記)

このようにして、自分が無意識に行っている考え方や感じ方に気づくことで、誤解や偏見、一面的見方を修正することが出来ます。

-こころのトリセツ, こころの悩み, 心理療法, 森田療法, 認知行動療法

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

あるがまま

《あるがままとは》 森田療法の人間観の根本はひと言でいえば「自然な生き方」です。 『もともと私たちの身体と精神の活動は自然の現象である。人為によってこれを左右することはできない』という森田の考え方にそ …

プルチックの感情の輪

《こころと感情》 私は自分が不安障害に陥ったことをきっかけに、人間のこころというものの不思議さに大きな関心を持つようになりました。 人間のこころは一般に知・情・意からなると言われています。思考・感情・ …

足もとの幸せ

足もとの幸せ 先回は、「幸せは求めれば求めるほど遠ざかる」という幸せのパラドックスについてお話をしました。 幸せのパラドックスの問題は、幸せは「いつか・どこかに」あると思い込んでいることにありました。 …

ぼくはひとりじゃない

ぼくはまだ胎内にいて 羊水という海に浮かんでいた 羊水は太古の海だ 数十億年も前 海からいのちが生まれた 海はすべてのいのちの源泉だ ぼくは これから長い旅に出る 地球上に生命が誕生してから人類が出現 …

感情の法則

アンガーマネージメントとは 感情と行動を遮断する 最近「アンガーマネージメント」という言葉をよく聞きます。この言葉は一見感情をコントロールする方法に法に聞こえるかもしれません。 「感情とは何か」(ちく …

プロフィール

プロフィール

石井 勝
大学卒業後、放送局にて制作・報道などに
従事。その後独立。
思春期より不安障害に悩む。自助グループ
で活動するかたわら心理学を学び
臨床心理士・公認心理師の資格取得。
名古屋市在住。2015年より北アルプスの麓
長野県安曇野市で300坪の畑を借り
都会と田舎の二拠点生活を始める。
家族は妻・子ども3人。
趣味は野菜づくり・読書・世界辺境旅行等

リンク

お知らせ

お知らせ

現在ありません

PAGE TOP