考え方・感じ方のクセ
生活習慣病とは、食生活、生活リズム、運動、嗜好(喫煙、飲酒)など、日ごろの生活習慣の悪いクセが主な原因で体調を崩したり、病気になってしまうことを言います。ついつい食べ過ぎてしまう、タバコがやめられないなどの生活習慣です。
一方、心の不調(悩み・苦しみ・生きづらさなど)にも、日ごろの生活習慣が影響しています。
それが「こころの生活習慣病」とも言うべき「考え方や受け取り方のクセ」です。
クセに気づく~見える化する~
最も有効なダイエット法は?
身体の生活習慣病を治療する方法の一つにダイエットがあります。ダイエットとは本来健康のために余分なものを食べすぎないことを言います。
この食べ過ぎというのは生活のクセです。日ごろのストレスなどでついつい食べ過ぎてしまうのです。
世の中にはさまざまなダイエット情報が氾濫していますが、なかなか長続きしません。
そんな中、多くの人がこれが一番効果があったと認めているダイエット法があります。
何だと思いますか?実は、それは「毎日体重を測る」というシンプルな方法だったそうです。
「見える化」することの意味
では、なぜそれが効果があったのか。それは、自分の体重が「見える化」されたからです。
「見える化」されることで、自分の状態が一目瞭然分かります。体重が増えれば、自分の生活の何かが問題であると気づくことができます。
「夕食はお米抜きにしてみよう」「明日からジョギングを始めよう」とか。その時、その時で臨機応変のダイエット法が可能になります。
決まった方法でストイックにダイエットしようと思うとなかなか長続きしません。
長続きのコツはこの臨機応変ということです。
つまり、それは誰かが作成したダイエット法を忠実に実行することでなく、自らの力、つまりセルフヘルプのダイエット法というわけです。
そのための大事なポイントが「見える化する」ということだったのです。
こころのダイエット
それでは「こころの生活習慣病」はどうでしょうか。
これもいわば毎日の考え方・感じ方のクセが引き起こします。これもダイエットが必要です。
ところが、自分が「こころの生活習慣病」にかかっているかどうか、自分自身ではなかなか分からないものです。
そのためには、まず、自分のこころを「見える化」してみることが有効です。
具体的に言えば、文字化(あるいは言語化)することです。
つまり、ダイエットにおける「体重測定」というわけです。
日記療法
森田療法では「日記療法」というものがあります。自分の行動やその時頭に浮かんだ考えや生じた感情などを日記につけるのです。
日記を続けていると自分の考え方や感じ方に或る傾向があることが分かります。それがこころのクセです。
治療の場合には「日記指導」といって医者やカウンセラ-などがそれにコメントを付けます。
しかし、必ずしも専門家のコメントが必要というわけではありません。自分が書き、自分で読むだけでいいのです。
つまり、見える化されたことによって自分で自分のこころの偏り・クセに気づくことが出来ます。
そうすることによって、「ああ、私はいつもこう考えてしまうんだな」とか、「この考え方は極端だな」とか気づかされます。
その結果、知らず知らずに自分の誤った考え方が修正されていくのです。
いわゆる自己治癒力(自己修正力)が働くからです。
思考記録表
一方、認知行動療法では「思考記録表」というものがあります。
思考記録表の場合は、自分が不安や恐れなどネガティブな感情に襲われた時の状況や、その時浮かんだ考えやイメージ、それに対してもっと現実的な考え方はないか、などを整理して書き出します。
自分の感情を客観的に見つめ、文字にすることで、改めて自分が何にとらわれているか気づくことが出来ます。
《思考記録表》
(1)状 況 | 不安や恐れを感じた時の状況は? |
(2)気 分 | その時の気分は?(恐怖・恥しさ・怒りなど%で表記) |
(3)自動思考 | その時にわき上がる考えやイメージは? |
(4)根 拠 | 自を根拠として浮かんだか?動思考は何 |
(5)反 証 | 自動思考と矛盾する事実は? |
(6)適応思考 | 現実的でバランスのとれた考え方は? (自分が無理なく受け入れられるもの) |
(7)今の気分 | 考え方を変えて気分がどう変化したか?(%で表記) |
このようにして、自分が無意識に行っている考え方や感じ方に気づくことで、誤解や偏見、一面的見方を修正することが出来ます。