こころのプラネット

間違った生き方や考え方が自分を苦しめていた・・・ 不安障害で苦しんだ当事者が出会ったこころの真実。森田療法を中心に、マインドフルネス・仏教心理学などを通して 苦しみの本質に気づき、とらわれのないこころのあり方さぐります。

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プルチックの感情の輪

投稿日:2019年8月30日 更新日:

こころと感情

私は自分が不安障害に陥ったことをきっかけに、人間のこころというものの不思議さに大きな関心を持つようになりました。

人間のこころは一般に知・情・意からなると言われています。思考・感情・意思(意志)のことです。その3つが複雑に絡み合ってこころは成り立っています。私を苦しめたのはこのうちの「感情」でした。

人間は感情の動物であるといわれています。もちろん、犬やサルなど動物にも感情はあります。しかし、人間ほど複雑な感情を持つ生き物は存在しません。人間の生に彩りを与え、人間たらしめているものは感情に他なりません。

プルチックの感情の輪

下に示した図はアメリカの心理学者R.プルチックという人が作った「プルチックの感情の輪」です。感情を色彩に対応するものとして描いてあります。

プルチックは色に三原色があるように感情にも「怒り・嫌悪・悲しみ・驚き・恐れ・信頼・喜び・期待」という8つの基本感情があるとしています。

同じ感情でも色の濃淡のように強度差があり、不安<恐れ<恐怖というように輪の中心に向かうほど次第に強い感情になります。
最初は漠とした感情だったのが、さまざまな理由で強い感情に育っていくことがよく分かります。

感情の組み合わせで複合感情が

そして、喜び⇔悲しみ、怒り⇔恐れ、信頼⇔嫌悪、驚き⇔期待はお互い相いれない感情、つまり補色関係になっています。

また、色は混じり合ってさまざまな色を生み出しますが、それと同様に、感情もそれぞれの感情が組み合わさってさまざまな複合感情が生まれてくるとしています。

例えば、隣り合った感情の組み合わせにより次のような二次感情が生まれるとしています。喜び+信頼=愛、嫌悪+怒り=軽蔑、悲しみ+嫌悪=後悔、驚き+悲しみ=拒絶などです。

そして、隣り合った感情と結びつくだけでなく離れた感情とも結びつき新たな感情が生まれます。例えば、喜び+恐れ=罪悪感、喜び+驚き=感動などです。他にもプルチックはさまざまな複合感情の組み合わせを示しています。

私たちの日常でもそうした複合感情が至る所で見られます。
例えば妬(ねた)みには、羨望・敵意・不満・嫉妬など感情同士が複雑に入り混じり合っています。

妬みはさらに他人の不幸や失敗を喜ぶといった感情を引き起こしたりします。それだけではなくそんな自分に自己嫌悪するという感情も生まれます。

関係し変化する感情

「プルチックの感情の輪」は感情の種類だけでなく、感情がいかに複雑に相互に関係しあい変化をしていくか、という感情同士の関係も表しており興味深いものがあります。

今自分の感じているモヤモヤした感情がどんな感情に由来し組み合わさって生じているのかを探ってみるのも、そこから抜け出せる一つの方法かもしれません。

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プロフィール

プロフィール

石井 勝
大学卒業後、放送局にて制作・報道などに
従事。その後独立。
思春期より不安障害に悩む。自助グループ
で活動するかたわら心理学を学び
臨床心理士・公認心理師の資格取得。
名古屋市在住。2015年より北アルプスの麓
長野県安曇野市で300坪の畑を借り
都会と田舎の二拠点生活を始める。
家族は妻・子ども3人。
趣味は野菜づくり・読書・世界辺境旅行等

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